まいにちウクレレ

うたとウクレレ、コンサーティーナ moqmoqオカザキエミ うたいます うたいます

写真でふりかえる数日 4

翌3日は、ふたたび藤沢のbar cane'sでPotluck(持ち寄り)ナイト。
このイベントは、数年前から不定期に開催されていて、みんながこの日のために、詩をよんだり、うたったり、楽器を弾いたり、喋ったり、ごはんをもちよったり、研究を発表したりする。わたしもいろいろやってきた。ピアノ弾き語りに始まり、声の出るぬいぐるみで弾き語り?したり、紙芝居にあわせてコンサーティーナを弾いたこともあったなあ。
この日は持ち寄りナイトであると同時に、cane's開店12周年記念イベントも兼ねていた。というかむしろこっちが本題。10周年のときと、ゲンさん夫妻の結婚パーティで大盛り上がりしたから、おおげさなお祝いムードはしばらくいい、とゲンさんはあれから何度も言っている。でもここでの周年はなぜか、6,9,12の学年区切りで意識されている。小学校に入学してから12周年なので、高校卒業。この話題になるといっつも、わたしはそこまでぴんとこなくて不思議な気持ちになるのだけれど、とにかくそういうことなのです。今回の持ち寄りのテーマは卒業だった。

毎度感激する、似鳥夫人の切り絵。涙
(だってこのお店の自慢のモヒートの部分、ちゃんと葉っぱが…!)

こちらはマスターゲンさんの目線。こまかい出し物の内容も載っています。
http://barcanes.exblog.jp/19232713/

そもそも個人のお店っていうのは、どこも特別なのだけれど、わたしは特に最近、このお店の存在をありがたいというのか、貴重だなあとしみじみしている。さかのぼって考えてみればここがなかったら、藤沢には越さなかっただろうし、もしかしたら実家から出ようともおもわず、今の家に住んでいないし、この歳になってできた家族のような友人のひとりには出会わず、ひとりとは疎遠になっていたはず。自分ひとりで飲みにいく習慣もここででき、人見知りがなおって、アイルランドに行くきっかけができ、おいしいお酒を知り、たのしい音楽を知った。わたしは昔から、おなじ音楽ばかりくりかえし聴く癖があって、なかなか幅が広がらないのだけれど、ここでほんとうにたくさんの音楽に出会っている。なにかあたらしいことをしようとか、考えるとやるなら場所はここかなとおもう。これだけ事実が積み上がるだけでもとても貴重だし、そんなことを置いておいても、ここではしょっちゅう小さな奇跡が起きている。それはおおいに、マスターゲンさんという人間によるものだとおもう。そこにいろんなひとが集まってきて、フィットしたりしなかったりしながら、何かが起きる土台を支えているのはゲンさん。その空間をこうして12年という長い年月、支え続けてきたという偉業。ことばにすると大袈裟だけれど、お店ってほんとうに、無くなるときはなくなってしまう。いままで何度も、だいすきなお店とお別れをしてきて、そのたびにがくりと肩をおとしてきたけれど、無くなるときの話がしたいのではなくて、こうして当たり前のようにそこにあることに、ありがとうを言いたい。きっと今日はそういう日なのだ、誕生日と一緒で。
そんなことを考えながら出し物を決めた。わたしはギターの弾き語り。しばらく練習したけれど、全然ぴんとこなくて、こないまま当日もやりきってしまった。ギターというあんなにかっこいい楽器を前に、わたしはすこしも胸おどらないまま、でもとりあえず一生懸命にはやった。お祝いのための特別、だけは叶ったけれど、もうやることはないだろうな。かわりに今やっている楽器とうたへの愛が増しました。みんなにたのしんでほしかったけれど、どうだったのだろう、そんなかんじ。

写真はゲンさんから拝借。


出演したひとりひとりのことに触れるときりがないので、ここではわたしの思いを綴るにとどまります。
そういえば夜中に、帰ってきたギタリスト吉村さんと、元ジャズ研デュオをやった。ほぼ10年ぶりのスタンダード、アクロバット的たのしさ。そんなことを思ってしまうあたり、なんにも変わっていなくて、ジャズをやると、うたは心です。っていうのを完璧に忘れてしまうので、こわい。だからやらない。でも吉村さんのギターは自由で、ジェントルで、とてもたのしかった。人柄がでるなあ。
深い時間になると、いつものようにぽつりぽつりとみんな帰っていく。残ったひとたちでお祝いテキーラをあおって、だんだん調子の出てきた数人、裸にらくがきをしたり、決意を表明したり、なんだかんだで朝になった。


使用前


使用後(からだじゅうらくがきされているふたり)



毎日はたくさんあって、マンネリしたり、感動したり、いろいろあるけれど、とにかくどんどん変わっていきながら、変わらずそこにあるといいなあ。Bar Cane's、いつもほんとうにありがとう。こころから。