まいにちウクレレ

うたとウクレレ、コンサーティーナ moqmoqオカザキエミ うたいます うたいます

快適なスピード

 家にネットがまだまだつながらなくて、そんななかちょうど時間がある日が多くて、だから家で映画みたり音楽聴いたり楽器弾いたり、しずかに過ごしている。普段どれだけネットでぼんやり時間をつかっているのだ。というかそもそも移動に費やしていた時間が浮いているのだ、と気づいたりする。ありがたいことです。これはこれで良い時間だ、でもやっぱりネット回線ないと不便ではある。
 この感じはなにかに似ている、とおもったらアイルランドだった。あのとき携帯も持っていなくて、基本ひとりで、だからぼんやり考えごとばっかりしていた。すると日々のいろんなことを思いだす。その感じをまたおもいだしている。

 家で弾いている感じでウクレレ弾けたらいいのに、といつもおもっている。コンサーティーナもそうだ。そのときの音色がいちばん、いいなとおもう音で、でもひとびとを前にすると自然にちからが入ったり、単純に音量がほしくてついがしがし弾いてしまう。でもぽろんと弾いているときの音がいいとあらためて気づいたのも、アイルランドにいるときだった。それまで、弾きながらうたうこと自体に必死で、でも旅のあいだに、そうじゃなくて、ということに気づき始めていたころ、出会ったのがJohnny McDonaghというボウラン奏者。日本にツアーに来て、天皇陛下にボウランをレクチャーしてしまうような、超有名人の彼が、旅先でよろよろしているわたしにとても親切にしてくれた。いいからとにかくついてこーいと、離れた町であるDe Dannanのギグに車で連れて行ってくれて、演奏の前に、思い出の店や、バンドのあれこれをFuckin’ Fuckin’言いながらたくさん話していた。超満員、大感動のギグのあと、あれこれが終わって、みんなでおしゃべりしているあいだ、英語についていききれないわたしが片隅でぽろんぽろんとウクレレを弾いていると、いつのまにかJohnnyが横にいて、ずいぶん長い間だまっていた。わたしはギグの感動がまだからだにのこっていて、とてもあたたかい気持ちで、たぶんそれまでにないようなこころでウクレレを弾いていた。気が済んで、ふとJohnnyに、なにしてるの、と聞いたら、ウクレレ聴いてた、とだけ言った。beautiful、とも言ってくれた。アイルランドのひとはよく、すてきなことがあったり、良いぞーというときにlovely!と言ってくれて、それがうれしかったのだけれど、あのときのbeautifulはとても印象的だった。そう、いつでもビューティフルなやつを弾きたい。
 ビューティフルなやつには、最適なスピードがあるなあ。弦を触るスピード。それで響きが全然ちがう。最適なスピードで〜、と歌い始めてしまってから、ちがう、それは快適なスピードだ。我がアイドルのうたうこの曲がイージューライダーだった、そういえば昨日も今日もイージーライダーの話していて、なんだかものごとはぶらーりとつながっているのだった。そういえばそういえば今日、差し入れの節分の豆を若干持て余してむしゃむしゃ食べていたら、ちょうどかわいい鬼がそこを通りかかって、豆まいて、無事万事よかったねーとなった。快適なスピードってこれのことかも。

 

あの夜のこと
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